国際社会と連携した取組

国際社会における動き

拉致問題に対する国際的関心の高まり(国連での取組等)

  1. 北朝鮮による日本人の拉致は、人間の尊厳、人権及び基本的自由の重大かつ明白な侵害である。国連人権理事会においては、これまで9年連続9回(前身の人権委員会から数えると12回)、我が国とEUが共同で提出してきている北朝鮮人権状況決議が採択されている。この決議では、従来、国連北朝鮮人権状況特別報告者のマンデート(任期)を延長することが主な内容の一つであったが、決議の度重なる採択を含め、国際社会の強い懸念表明にもかかわらず、北朝鮮の人権状況に改善が見られないことを踏まえ、平成25年3月の決議で、拉致問題を含む北朝鮮の人権状況を調査するための国連調査委員会(COI)の設置が決定された。
     同調査委員会は、平成25年8月末の日本訪問に加え、韓国、タイ、英国及び米国を訪問し、証言者からの聞き取り情報等を基に最終報告書を作成し、平成26年3月、人権理事会に提出した。同報告書は、拉致問題を含む北朝鮮における深刻な人権侵害が「人道に対する罪」に当たるとした上で、北朝鮮に具体的な取組を勧告するとともに、国際社会や国連にも更なる行動を求める内容となっている(これを受け、我が国及びEUは、平成26年3月以降の人権理事会において、同報告書の内容を反映した従来以上に強い内容の決議案を提出し、いずれも採択されている)。
     なお、同決議に基づき任命され、マンデートの延長がなされている国連北朝鮮人権状況特別報告者(調査委員会の活動期間中は同委員も兼務)は、平成17年以降、累次にわたって我が国を訪問しており、その結果も踏まえ、毎年、国連人権理事会(平成17年までは国連人権委員会)及び国連総会第3委員会に報告を行っている。 現在は、元インドネシア検事総長のマルズキ・ダルスマン氏が、国連北朝鮮人権状況特別報告者を務めている(注:マルズキ・ダルスマン特別報告者の任期は7月31日までであり,8月1日以降,新しい特別報告者として,アルゼンチン出身でミャンマーの人権状況特別報告者を務めたことのあるトマス・オヘア・キンタナ氏が着任予定)。
     また、平成26年5月、人権理事会の普遍的・定期的レビュー(UPR)作業部会において、第2回目となる北朝鮮の人権状況に関する審査が行われた。同作業部会では、拉致問題を含めた北朝鮮の人権状況について、我が国ほか多数の国々が懸念を表明し、北朝鮮に対してその改善を勧告した。
  2. 国連総会においても、北朝鮮人権状況決議が、平成17年12月に初めて本会議で採択されて以降、11年連続11回採択されている。国連総会決議も、人権理事会決議と同様、我が国とEUが共同で提出しているもので、外国人の拉致問題を含め北朝鮮の人権状況に深刻な懸念を表明し、北朝鮮に対し、拉致被害者の即時帰国を含め、問題を早急に解決することを強く要求している(韓国が平成20年より毎年共同提案国に加わっている。また、平成27年の本決議は、前年を上回る119票の賛成票を得て採択。)。特に、平成26年以降の決議は、COI報告書や同年以降の人権理事会決議の内容を反映させた、これまでより強い内容となっており、安保理がCOIの勧告を検討し、北朝鮮の人権状況の国際刑事裁判所(ICC)への付託等を通じて適切な行動をとるよう促している。(同総会決議の採択を受け、平成26年12月及び平成27年12月、国連安保理においても、人権状況を含む北朝鮮の状況が正式に議論された。)
  3. 日本人以外の拉致被害者についても内外の関心が高まっている。韓国政府は、朝鮮戦争後に3,835名の韓国人が北朝鮮により拉致され、そのうち516名が未帰還であるとしており()、また、朝鮮戦争中にも約10万名が拉致されたとして、現在、真相究明を進めている。さらに、日本へ帰国した拉致被害者などの証言で、タイ、ルーマニア、レバノンでも北朝鮮に拉致された可能性のある者が存在することが明らかになった。このほか、北朝鮮から帰還した韓国人拉致被害者などの証言では、中国人などの拉致被害者も存在するとされている。こうしたことを受け、 関係各国の家族間や民間団体間で連携が行われており、政府レベルでも、関係各国との間で、情報交換を含め緊密な連携を行っている。
     なお、韓国人拉致被害者の中には、日本人拉致被害者と結婚したとみられるケースもある。平成18年5月、横田めぐみさんの夫が韓国人拉致被害者金英男(キム・ヨンナム)氏である可能性が高いことが判明したほか、田口八重子さんについても、韓国人拉致被害者と結婚した可能性も排除できないことから、政府として鋭意調査を進めている。

    (注)出典:韓国統一部「統一白書2016年度版」。韓国人拉致被害者の中には、2000年に拉致され翌年に北朝鮮で亡くなったとされている韓国人宣教師キム・ドンシク氏(米国永住権所有者)も含まれている。同事案について、米国のオバマ大統領は、2008年10月(大統領候補者当時)、テロ支援国家指定解除に関し発表した声明の中で、「北朝鮮は、日本人並びに韓国人、そしてキム・ドンシク牧師の拉致に関する全ての問題を解決しなければならない」としている。

我が国外交上の取組

  1. 日本政府は、上記の通り、北朝鮮人権状況決議をEUと共同提出する等、国連総会や人権理事会の場で重要な役割を果たしてきているが、この他にも、G8(又はG7)サミット等の各種国際会議、首脳会談等あらゆる外交上の機会を捉え拉致問題を提起し、諸外国からの理解と支持を得てきている。例えば、平成28年5月のG7伊勢・志摩サミットの首脳宣言では、北朝鮮における人権侵害について遺憾の意が表明され、北朝鮮に対し、拉致問題を含む国際社会の懸念に直ちに対処するよう強く求める、との文言が明記された(G8(又はG7)では、平成15年のエビアンサミット以来継続して、文書の中で拉致問題を取り上げている。)。
  2. また、二国間首脳会談でも、従来より、各国から拉致問題における日本の立場に対する理解と協力の姿勢が示されている。米国については、オバマ大統領が、例えば、平成21年4月の東京での演説において「北朝鮮と近隣諸国との完全な国交正常化は、日本人の被害者家族が拉致被害者に関する十分な説明を受けることが前提となる」旨述べており、また、金正日国防委員長死去後の平成23年12月に行われた日米首脳電話会談においては、オバマ大統領が、「拉致問題等の課題についても緊密に連携していきたく、米国の政策は一貫している」と述べている。さらに、平成26年4月の訪日では、飯塚繁雄「家族会」代表及び横田滋・早紀江御夫妻と面談し、拉致被害者御家族の心情への理解と共感を示しつつ、拉致問題における安倍総理の対応を支持する旨述べている。韓国については、平成28年3月末から4月初めにかけて開催された「核セキュリティ・サミット」の際の日韓首脳会談において、安倍総理から、拉致問題をはじめとする北朝鮮の人権・人道問題の解決に向け引き続き協力していきたい旨述べたところ、朴槿恵(パク・クネ)大統領から、韓国にも同様の問題があり、協力してきたいとの発言があった。  
  3. 平成17年9月に採択された六者会合の共同声明でも、拉致問題を含めた懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するための措置をとることが、同会合の目標の一つとして位置づけられている。これを受け、平成19年2月の六者会合においては、非核化等と並んで、日朝国交正常化のための作業部会も設立され、さらに、同年9月の六者会合においては、日朝関係について、日朝双方が具体的行動を実施していくことも合意された。
     なお、六者会合においては、北朝鮮が非核化措置を実施することとあわせ、北朝鮮に対して経済・エネルギー支援が実施されることとなっているが、我が国は、拉致問題に進展が見られない限り、六者会合における北朝鮮へのエネルギー供与には参加しないとの立場をとっている。
  4. 上記のとおり、拉致問題解決の重要性とそのための日本政府の取組は、国際社会の明確な理解と支持を得ている。拉致問題の解決に向けた北朝鮮側の決断を促していくためには、国際社会の理解と協力が不可欠であるとの観点から、日本政府は、今後とも、拉致問題における国際社会との連携を積極的に推進していく考えである。
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