政府の姿勢・取組

拉致被害者・家族に対する総合的な支援策について

1 経済的支援について

帰国等に伴う費用の負担

  • 被害者又は被害者の配偶者等の帰国等に要する渡航費用は国が負担する。
  • 被害者又は被害者の配偶者等が帰国等してから落着き先での滞在を開始するまでの間の費用(交通費、食費、宿泊費、医療費等)についても、国が負担する。
  • 北朝鮮にとどまった被害者の配偶者等がいる場合、当該親族が本邦で治療・医療を受けることを希望する場合の費用について、国が支援する。(注)

日本における生活の保障

(1)拉致被害者等給付金
  • 帰国被害者等が本邦に永住する場合には、拉致被害者等給付金を、永住の意思決定の時から10年を限度として、毎月、支給する。なお、北朝鮮での生活が非常に長期間に及んでいるため10年間では生活基盤再建に至らない可能性があること等を踏まえ、被害者及び被害者の配偶者については、例外的に5年を限度として支給期限を延長することができる。
  • 帰国被害者の子が被害者とは別世帯を構成していることも想定し、子に配偶者がいる場合や被害者又は配偶者の親を扶養する場合に拉致被害者等給付金に扶養加算を行うほか、10年間の全支給期間にわたって子の別世帯扱いを可能にする。
  • 帰国被害者等が、東京近郊や大都市に居住する場合、拉致被害者等給付金に民間の賃金水準や物価等を考慮した地域間の調整を行う。
(2)滞在援助金等
  • 帰国被害者等が永住の意思決定が可能となるまでの間は、滞在援助金を支給する。滞在援助金の支給対象範囲を拡大し、拉致被害者等給付金と同様とする。
  • 帰国被害者に北朝鮮にとどまった被害者の配偶者等がいる場合、帰国被害者等が北朝鮮に在住する親族を訪問する費用を、国が支援する。(注)
(3)老齢給付金等
  • 本邦に永住する帰国被害者又は被害者の配偶者のいずれかが60歳に達した場合には、老後における平穏で安定した平均的水準の社会生活を営むことができるよう、夫婦を対象として世帯ベースで、毎月、老齢給付金を支給する。なお、住宅の取得目的など一定要件の下に一部を一時金として受給できることとする。
  • 本邦に永住する帰国被害者の外国人配偶者等について、帰国被害者が死亡した場合、一定要件の下に老齢基礎年金の三分の二相当額を配偶者支援金として支給する。
「北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律」に基づき、認定拉致被害者を対象とする給付金の申請等を行う場合には、以下のフォームから連絡可能です。
連絡フォームはこちら(外部リンク)外部リンク

年金の給付等

  • 年金額の改善を図るため、拉致期間を国民年金の被保険者期間とみなし、国はその期間に係る保険料に相当する費用を負担する(被害者の場合)こと等の特例措置を講ずる。
  • 帰国被害者について、帰国時の年齢が65歳以上である場合、帰国前に係る国民年金相当額を一括して特別給付金として支給する。
  • 成人に達した被害者の子供が帰国した場合、20歳を超えた年齢に応じて、追納する保険料相当額を追納支援一時金として支給する。

2 身体の安全及び心身の健康

所要の警戒

  • 被害者や家族の意向等を踏まえつつ、所要の警戒を行うほか、必要な警備体制をとる。

健康診査

  • 40歳以上の帰国被害者等に対して、保険者による特定健診・保健指導及び市町村による健康増進法に基づく健康増進事業を実施する。

精神的なケア

  • 精神保健福祉センターや保健所において、心の健康相談を始めとする精神保健福祉相談を実施する。
  • 特別支援として、地元精神科医及び心のケアに関する中央の専門家による精神的ケア実施体制を整備し、被害者本人等の申し出により、地元精神科医等が中心となって精神的ケアを実施する中で、適宜専門家を派遣する。

3 生活相談

相談・対応窓口の設置

  • 日常生活の諸問題に関する相談に応じ、必要な助言、指導を行うための要員を配置する。具体的には、経験や知識に加え被害者本人との信頼関係により人選し、県福祉事務所のケースワーカー(嘱託職員)として新たに採用し、国がその費用を補助する。

派遣形式による研修等の実施

  • 帰国被害者等が日本社会に円滑に適応するために、帰国直後を中心に派遣形式による研修等を一定期間実施し、基本的な生活習慣や日本語の指導を集中的に受けること等について、各人のニーズを踏まえつつ、きめ細かな支援を行う。

日本語の不自由な高齢者への対応

  • 高齢で日本語が不自由な被害者等が、帰国後、地域で安心して生活できるよう、帰国被害者等が医療や介護を受ける際、公的機関から援助を受ける際などに、朝鮮語等が堪能な通訳を同行させる等の支援を行う。

4 居住の安定

公営住宅への入居等

  • 帰国被害者等が日本における居住の場として公営住宅への入居を希望される場合において、事業主体である地方公共団体の判断により、その住宅に困窮する事情に応じた優先入居の取扱いを行う。また、家賃についても、実情に応じ、地方公共団体の判断により、減免等を行うことが可能。民間住宅の借り上げによる公営住宅の供給は、地方公共団体の判断により可能。
  • 帰国被害者及び被害者の配偶者への老齢給付金について、老後の生活費を十分に勘案した水準を確保するとともに、定年退職後の住宅取得資金等のまとまった資金ニーズに対応できるよう、住宅の取得目的など一定要件の下に一部を一時金として受給できることとする。【再掲】

5 雇用機会の確保

公共職業安定所による就職あっせん

  • 地元公共職業安定所に所長を長とした支援チームを設置し、帰国被害者等の状況を把握した上で、帰国被害者等の希望に応じ、求人情報の収集・提供、求人開拓、職業相談、職業紹介等のほか、最適な支援策(職業転換給付金、特定求職者雇用開発助成金のほか、雇用保険の各種給付や職業訓練受講給付金等の各種助成金・給付金、日本語講習とセットになった職業訓練、通訳の配置など)の活用を助言したり、カウンセリング等の就職活動上の各種相談支援を行うなど、マンツーマンによるきめ細かな就職支援を行う「帰国被害者等就職支援プログラム」を、恒久措置として実施することなどを通じて確実な就職に結びつける。

職業訓練の実施

  • 職業訓練については、公共職業安定所において求職登録、受講あっせんにより、無料で公共職業訓練を提供する。また、帰国被害者等の状況を把握した上で、帰国被害者等の希望に応じ、日本語講習とセットになった職業訓練を活用した支援等を行う。【再掲】
  • 訓練受講中の生活の安定を図る等のため、雇用対策法に基づく職業転換給付金制度の適用により訓練手当等を支給すること、帰国被害者等を雇用する事業主を助成するため、特定求職者雇用開発助成金等を支給することなど、帰国被害者等の状況を踏まえたきめ細かな支援を行う。【再掲】

6 教育機会の確保

学校への受入

  • 小・中学校については、国籍の別を問わず相当学年への受入を行う。また、日本語が不十分である等の事情がある場合には、一時的に下級の学年に編入する措置をとることは可能。
  • 帰国被害者等が高校進学を希望した場合、高等学校の入学資格等について、教育委員会等からの相談を踏まえ、帰国被害者等の意向に沿った入学資格等の付与が可能となるよう対応する。
  • 帰国被害者等が大学進学を希望した場合、受入が円滑に行われるようそれらの者の意向や事情に配慮した特別選抜が行われるよう、大学に対して求めていく(実施されるか否かは各大学の判断)。また、我が国の大学に編入学する条件が整っていない場合にはその準備教育について支援を行う。

日本語習得への支援

  • 小・中学校及び高等学校においては、日本語指導のための教員定数の加配を行う。
  • 小・中学校及び高等学校においては、朝鮮語を話せる教育相談員の派遣が行えるよう支援する。
  • 小・中学校及び高等学校においては、国が作成した日本語指導資料・教材を配布する。
  • 大学においては、編入学を許可した大学に留学生並みの日本語教育を施すよう要請する。また、大学入学前に日本語教育を希望した場合には、国立大学留学生センター等における日本語教育の受講が可能となるよう調整する。

7 戸籍等に関する手続

日本国籍の取得

  • 改正国籍法施行(昭和60年1月1日)前の出生子で母は日本人であるが父が外国人であるため出生により日本国籍を取得していない子は、法務大臣に対する届出によって日本国籍を取得するため、市町村役場に法務省発行の国籍取得証明書を添付した国籍取得の届出がされれば、戸籍に記載される。(改正国籍法施行後の出生子は、父又は母が日本国民であれば出生によりすでに日本国籍を取得しているため、市町村役場に出生の届出がされれば、戸籍に記載される。)
  • 被害者の孫についても、被害者の子の国籍取得の届出又は出生の届出と合わせて国籍取得の届出又は出生の届出(子が婚姻している場合は、これらに加えて婚姻の届出)がされれば、戸籍に記載される。

婚姻届、出生届等各種届出の受理等

  • 届書が市町村役場に提出された場合、迅速かつ適切に戸籍に記載されるよう努める。
  • 北朝鮮にとどまっている被害者の配偶者等が治療・医療目的で帰国又は入国するにあたっては、必要に応じ、住民登録及び国民健康保険への加入手続が迅速かつ適切に行われるよう努める。(注)

8 国と地方の連携

  • 国は地方公共団体と緊密な連携を保ち、支援策の策定及び実施を行うこととし、必要があると認めるときは、地方公共団体が講ずる施策について、援助を行うものとする。

9 生存が確認されていない被害者の家族への対応

  • 安否が確認されていない被害者及び被害者の配偶者等の安否情報の収集に努め、家族に対する速やかな情報提供を行うとともに、家族からの相談等にきめ細かく対応する。
  • 北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者について、捜査・調査等を実施するとともに、家族に対して適宜情報提供を行うほか、相談等にも対応する。

                (注)今後新たに帰国する拉致被害者については、被害者の配偶者等も一緒に日本へ帰国・
                入国することを原則とすべきであり、このため、家族を含めて一旦日本へ帰国・入国して
                一定期間滞在した上で日本へ永住するか否かの判断を行うことを原則とすべきである。